成因別鉱床(熱水性鉱床)

 熱水とは,マグマ活動に伴って生じた温度の高い水を主体にした流体をいう。現在,深海底から勢いよく噴出している熱水活動を地球上の多くの海嶺軸上の地点で見ることができるが,過去の地質時代においても同様な活動が,海底のみならず陸域でも生じていたことが分かっている。熱水は200~400℃を示すが,これは高い水圧条件下で種々の化学成分が混入するために溶液の沸点が高くなったのである。最近,大西洋中央海嶺の南緯5度地点(水深3,000m)の噴出孔において,464℃という超臨界温度を示す気相にとんだ熱流体が観測された。これには有用元素が溶解している。このような熱水によって生成した鉱床を熱水性鉱床という。
 熱水の由来は,マグマの固結によりマグマ中に溶解していた揮発成分が分離・上昇してきた熱水,及び地表から浸透した水(天水)が地下深部でマグマの熱や地温勾配によって熱せられてできる循環熱水に大別される。普通これらの混合したものが熱水と考えられている。
 有用元素を豊富に溶解している熱水を、特に鉱化熱水溶液(鉱化流体)という。この鉱化熱水溶液から温度、圧力、pH、Eh、化学組成などの物理・化学的変化に応じて、各種鉱物が沈殿晶出し、下記の様なさまざまな鉱床が生成されるが,これが熱水性鉱床である。
 熱水性鉱床は地質的・成因的要素により,スカルン鉱床,斑岩銅鉱床,鉱脈鉱床,ミシシッピーバレー型鉱床,キースラーガー鉱床,海底噴気熱水鉱床などに分類されている。

スカルン鉱床 斑岩銅鉱床 鉱脈鉱床
ミシシッピーバレー型鉱床 キースラーガー型鉱床 海底噴気熱水鉱床