光竜鉱山は北海道恵庭市盤尻(下図参照)に位置する浅熱水性金銀鉱脈鉱床(苣木他、1984)で、一号脈産の氷長石のK-Ar年代測定により1.0Maと非常に若い生成年代とされている(苣木・磯部, 1985)。
光竜鉱山の鉱脈としては1号~6号までの鉱脈が知られていたが、主として一号、二号および三号脈が採掘されていた。通道坑(90mL)における鉱脈の分布は下図のようであるが、鉱山の下部では一号脈と二号脈とが合体しており、二号脈は一号脈の分岐脈とも考えられていた。
光竜鉱山の鉱脈の品位の増減は著しく、場所によっては2桁の単位で金銀含有量が異なっていた。
光竜鉱山から産出する金・銀鉱物としてエレクトラム、アグイラ鉱、濃紅銀鉱、ポリバス鉱-ピアス鉱系鉱物、ミアジル鉱などが知られていたが(苣木他、1983)、最近日本新産鉱物としてバウムスターク鉱の産出が報告されている(Kitakaze et al., 2012、本HP日本新産鉱物参照)。特に3号脈60mLの鉱脈は高品位鉱石がみられ、しばしば晶洞中には上記銀鉱物の自形結晶が産出した。
【参考文献】
苣木浅彦、北風嵐、磯部清(1984) 北海道光竜鉱山の金銀鉱床について。岩鉱、79、405-423.
苣木浅彦、磯部清(1985) 北海道珊瑠・光竜金銀鉱床のK-Ar年代。岩鉱、80、537-540.
Kitakaze, A., Itoh, H., & Komatsu, R.(2012) Baumstarkite from the Koryu mine, Japan. Can. Mineral., 50, 101-109.
(文責:北風嵐)