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菱刈鉱山

 菱刈鉱山は鹿児島市の北東部の鹿児島県伊佐市菱刈前目に位置する浅熱水性含金銀氷長石石英鉱脈鉱床であり、1985年から操業が行われた比較的新しく開発された鉱山で、現在住友金属鉱山で稼行中の鉱山である。
 鉱床は我が国ではほとんど例の無い四万十類層(中生代白亜紀から新生代古第三紀にかけて形成された典型的な付加体)中に胚胎している鉱脈鉱床で、採掘はトラックレス・マイニング(鉱内鉄道・トロッコを使わない採掘法)で行われており、鉱石の運搬はトラックでのみ行われている。鉱体は本鉱床、山神鉱床、山田鉱床に大きく分類されるが、現在は山田鉱床を主として採掘されている。
 鉱石鉱物としてエレクトラム、黄鉄鉱を主とし,方鉛鉱,閃亜鉛鉱,黄銅鉱,Ag-Te系鉱物,Ag-Sb-S系鉱物(濃紅銀鉱、ミアルジ鉱など)、Ag-Se-S系鉱物(アグイラ鉱、ナウマン鉱など)などを少量伴う。他の浅熱水性金銀鉱脈鉱床に比較して金品位が銀品位より高い特徴がある。
 菱刈鉱山の生成年代は0.66±0.06~1.25±0.17Maと非常に若い年代が得られている(村田ほか、2008)。
 現在までの産金量は過去の日本の産金量を上回る230トンにも及び、また平均でも約50g/tと非常に金品位が高く世界最高水準である。
 菱刈鉱山の鉱床や金銀鉱物に関しては多数の論文が公表されているが、ここでは代表的な論文を参考文献としている。
 なお、抗外、坑内写真の掲載は住友金属鉱山から許可を得ている。

【参考文献】

 茨城謙三・鈴木良一(1990)菱刈鉱山鉱床母岩の熱水変質について。鉱山地質, 40, 97~106.
 岡田和也(2004)菱刈鉱山の開発および現況。地質ニュース、601、16-27.
 村田圭佑・小山将明・関根亮太(2008)菱刈鉱山山田鉱床周辺部の探鉱と開発の現況。資源地質、58、111-119。

(文責:北風嵐)

菱刈鉱山の第1斜坑(入り口)および第2斜坑(出口)坑口
菱刈鉱山の第1斜坑(入り口)
および第2斜坑(出口)坑口
縞状組織の明瞭な含金銀石英脈
縞状組織の明瞭な含金銀石英脈
縞状組織の明瞭な含金銀石英脈(右上の写真の拡大)
縞状組織の明瞭な含金銀石英脈
(右上の写真の拡大)
累被縞状の明瞭な金銀石英脈
累被縞状の明瞭な金銀石英脈
累被縞状の明瞭な金銀石英脈(右上の写真の拡大)
累被縞状の明瞭な金銀石英脈
(右上の写真の拡大)
菱刈鉱山産高品位金銀鉱石(#18418)
菱刈鉱山産高品位金銀鉱石
(#18418)
菱刈鉱山産高品位金鉱石(鉱山事務所サンプル、住友金属鉱山から掲載許可済)
菱刈鉱山産高品位金鉱石
(鉱山事務所サンプル、
住友金属鉱山から掲載許可済)
菱刈鉱山産銀累被縞状を呈し銀黒縞の明瞭な高品位金銀鉱石(鉱山事務所サンプル、住友金属鉱山から掲載許可済)
菱刈鉱山産銀累被縞状を呈し
銀黒縞の明瞭な高品位金銀鉱石
(鉱山事務所サンプル、
住友金属鉱山から掲載許可済)