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清越鉱山

 本鉱山は伊豆半島の北西部に位置し,西側よりそれぞれ約4kmを隔てて清越,持越,湯ケ島の3鉱床が開発されている。全般の地質は第三紀中新世に属する湯ケ島層群が広く分布し,その上部には鮮新世~ 更新世に属する火山岩類が覆っている。鉱床は浅熱水性含金銀鉱脈鉱床である。鉱床は主として湯ケ島層群を母岩とするが、持越鉱床の上部の一部は猫越石英安山岩類中に胚胎しており、主要な鉱石鉱物はエレクトラムおよび輝銀鉱である。そのほか銀鉱物として雑銀鉱,脆銀鉱,濃紅銀鉱などが少量認められる(西脇他、1969)。鉱脈の規模に関しては西脇他(1969)、河野・橋本(1984)論文に詳しく記載されているのでここでは省略する。
 鉱脈中の氷長石で測定したK-Ar年代は3.7Maで、伊豆半島が日本に付加された年代(0.6Ma)より古く、それ以前に生成した鉱床と考えられます。
 筆者が清越鉱山を最初に訪問したのは、東北大学の学生時代で、坑内調査を終わって坑内から出坑し、鉱山事務所に挨拶に伺った時1968年12月10日の3億円事件の話が主体であったことを記憶しています。鉱山の出鉱量が1ヶ月2,000万円程度でしたから、如何に大金であったかを鮮明に記憶しています。

【参考文献】

 西脇親雄、太田苗司、西尾潤四郎、本多谷雄(1969)持越鉱山の金銀鉱床および鉱石について。日本鉱業会誌、85、651-653。
 鹿園・綱川(1982)細倉・佐渡鉱床のK-Ar年代。鉱山地質, 32, 479~482。
 河野幸男、橋本龍(1984)清越鉱山。日本鉱業会誌、100、931 -933。

(文責:北風嵐)

鉱山の採鉱・探査事務所
鉱山の採鉱・探査事務所
清越鉱山の通洞坑入り口
清越鉱山の通洞坑入り口
清越鉱山の通洞坑入り口
清越鉱山の通洞坑入り口
清越鉱山の金・銀石英脈の露頭
清越鉱山の金・銀石英脈の露頭
清越鉱山の含金石英脈
清越鉱山の含金石英脈
清越鉱山の石英脈(輪鉱が顕著)
清越鉱山の石英脈(輪鉱が顕著)
銀黒が顕著な累被縞状組織を呈する石英脈
銀黒が顕著な累被縞状組織を呈する石英脈
累被縞状組織を呈する高品位金・銀鉱(事務所サンプル)
累被縞状組織を呈する
高品位金・銀鉱(事務所サンプル)